インプラント治療とは
むし歯や歯周病、事故など、何らかの理由で歯を失ってしまった方、入れ歯を入れたのに固い物が噛めなくなったり、発音が不明瞭になってしまった方のお悩みや不満を解消できる「第三の歯」インプラント(人工歯根)。
インプラント治療は、天然の歯と同等の「噛む力」を回復できる治療法です。
インプラントは天然の歯のように噛める
永久歯を抜歯した後は、入れ歯(義歯)やブリッジ(架工義歯:両隣の歯に被せた冠と連結した人工歯で、歯の欠損部を補う治療法)での治療が一般的です。しかし、入れ歯は噛みごたえが悪かったり外れやすかったりし、また、部分入れ歯は装着するための金具が外から見えてしまいます。ブリッジは、人工歯を支えるために両隣の健康な歯を削らなくてはなりません。
そこで生まれたのが「インプラント(人工歯根)」です。インプラントは、失った歯の代わりにあごの骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療法です。「歯の根」を作ることで天然歯と同じようにしっかりと噛めるようになります。
「噛む力の回復」は、食べる楽しみや健康の回復にもつながります。
噛む力とアルツハイマー型認知症の関係
ものを良く噛んで食べることができない人はアルツハイマー型認知症になりやすいと言われています。
アルツハイマー型認知症の原因にアミロイドβという物質の蓄積が挙げられますが、このアミロイドβはよく咀嚼しないと大脳皮質に沈着しやすくなります。
歯が抜けた時、入れ歯という選択肢もありますが、入れ歯は粘膜支持のため、インプラントに比べると噛む力は弱くなります。
噛むことは、中枢神経への刺激となり、脳が活性化します。脳への刺激が少なくなると、記憶をつかさどる海馬の細胞数も減少します。
つまり、よく咀嚼できることは認知症の予防にもつながるのです。
インプラント治療は審美性が高い
インプラントの最も大きな特長は、人工歯根をあごの骨に直接埋め込むため、インプラント治療を行ったことにほとんど気づかれないということです。こちらの患者様は、赤い色の○印の部分がインプラントです。自然の歯とほとんど見分けがつきません。
インプラントは歯の欠損を補う治療の中では、最も審美性に優れています。入れ歯と違って歯の欠損や入れ歯の金具を気にして口元を隠す必要がありませんので、審美的にもメンタル面でも満足感を得られます。
インプラント(人工歯根)治療と従来の人工歯治療
インプラント治療が従来の治療法(ブリッジ・入れ歯)とどのように違うのか、どんな利点があるのかを、ケースごとにご説明します。
歯が1本抜けた場合(ブリッジとの比較)
歯が抜けてしまったら、一般的にはブリッジで欠損歯を補います。ブリッジは冠状の支台と欠損歯を補うための人工歯が連結しているため、中央の人工歯を支えるために欠損部の両隣の歯を削って土台にしなければなりません。また、平均して約8年で、支えている歯にトラブルを生じるといったデータがあります。
インプラントは支台が必要ありませんので、両隣の歯を削らずに欠損部を補うことができます。
- 歯が数1本抜けた場合
- 保険診療では、両側の健康な歯を削って土台にし、ブリッジを被せて欠損歯を補います。
- インプラント治療なら、顎の骨に直接人工歯根(インプラント体)を埋め込みますので、健康な歯を削りません。
歯が数本~全て抜けた場合(入れ歯との比較)
歯が数本抜けた場合は“部分入れ歯”で、歯を全て失ってしまった場合は“総入れ歯”で欠損歯を補います。
部分入れ歯は、義歯を固定するための金具が目立つだけでなく、歯や口腔内を傷つけることもあります。しかし、インプラント治療なら、歯のない部分に必要な数のインプラントを入れ、人工歯を固定するため、天然の歯並びと変わりません。
“総入れ歯”は歯根がないので、ずれたり外れたりしやすいという大きな欠点があります。また食べ物が隙間に入ると、痛みの原因にもなります。しかし、インプラント治療なら、インプラントを数本入れ、入れ歯を固定するための維持装置を取り付けるので、ぐらつきがなくなります。
- 歯が数本~全て抜けた場合
- 保険の部分入れ歯または総入れ歯では、周辺組織に負担をかけたり、ガタついてうまく噛めなかったりします。
- 1本または数本のインプラントで義歯を支えるので、ガタつかずにしっかりと噛めます。
インプラント治療のメリット
- ブリッジのように、健康な歯を削る必要がありません。
- ブリッジよりも長く維持されます。
- あごの骨に直接人工歯根を埋め込むので、噛む機能が天然の歯と同等に回復します。
- 歯茎に噛む力(刺激)がかかるので、歯茎の健康を保つことができます。
- 口腔内に金具を取り付ける必要がないので、天然の歯と同じような外見が得られます。
- あごがやせることによる口元の「老い」がありません。
インプラント治療の副作用・リスク
- 骨粗鬆症や重度の糖尿病の方は治療できない可能性があります。
- 骨の成長が止まる20歳前後まで、また妊婦の方は手術不可となります。
- 骨の弱い方、全身疾患がある方は手術できない場合があります。
- 煙草は予後に影響を及ぼすため、手術前後は控えていただく必要があります。
- 定期的なメンテナンスが必要です。
専門性が問われるインプラント治療
ここ20年で技術やインプラントの質自体がかなり進歩し、インプラント治療の安全性や成功率が高くなっています。手術後に痛みや腫れが出ることは少なく、手術したその日から普通に食事をしていただくこともできるほどです。
しかし、やはりあごの骨に直接金属のネジを取り付けることに不安を感じられることでしょうし、私たち歯科医師も、経験の浅い未熟な医師が安易に行うべき治療ではないと考えています。治療を受けられる際は、治療経験を十分に積んだインプラントの担当医師がいる歯科医院をお選びになることをおすすめしています。
身体に優しいメタルフリーのジルコニアセラミックインプラント
赤坂歯科クリニックでは、金属アレルギーの方にはメタルフリーのジルコニアセラミックインプラントを選択できます。
上部構造体(人工歯)はもちろん、あごの骨に埋入するフィクスチャー(インプラント体)とアバットメント(土台)も非金属のジルコニアセラミック製のものを用いますので、メタルフリーのインプラント治療を受けていただくことが可能です。
チタンはアレルギーにならない?
近年、歯科金属が原因の金属アレルギーにお悩みの方が増えてきています。
アレルギーを引き起こしにくい金属として金合金やチタンが用いられますが、残念ながら金属である以上、全くアレルギーを起こさないというわけではありません。
インプラントも純チタンまたはチタン合金製のものが用いられていますが、実際に、近年ごく少数(約500人に1人)ながら、チタンに対するアレルギーが報告されています。
アクセサリーやメガネなど、一般の方でも日常的にチタンに触れる機会が多くなってきていますので、今後、チタンアレルギーの報告は増えて行くのではないでしょうか。
ジルコニアセラミックインプラントの特徴
金属アレルギーの可能性が限りなく低い
インプラントはインプラント体・アバットメント・上部構造体の3つから成りますが、金属を使用する割合が低いほど、金属アレルギーのリスクは低くなります。
ジルコニアセラミックは酸化ジルコニウムというセラミックの一種ですので、上部構造体だけでなく、インプラント体・アバットメントにもジルコニアセラミックを用いることで、金属アレルギーを引き起こす可能性は限りなく低くなります。
4万本以上の臨床実績がある
ジルコニアセラミックインプラントは、30年以上の研究、17年以上・4万本以上の臨床実績を持つインプラントで、米国食品医薬品局(FDA)の承認と欧州CEマークの認証を受けています。
チタンと同じように骨と結合する
チタンより時間がかかりますが、チタンと同じように骨と結合する(オッセオインテグレーション)することが確認されています。治療の成功率については一般的なチタンインプラント同様とお考えいただいて良いかと思います。
当クリニックでジルコニアセラミックインプラント治療を受けられた患者様
前歯にメタルフリーのセラミックインプラントを2本を埋め込み、上部構造(人工歯)にジルコニアセラミックを選択した症例です。
この症例の費用(インプラント治療の前歯2本分) | 1,100,000円(税込) |
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この症例の治療期間 | 6回 通院 |
メタルフリーのインプラント治療の副作用・リスク | チタンより骨と結合する時間がかかる |
※インプラント治療は自費治療となります。
治療内容・リスク・副作用など
・歯科インプラントとは歯を失った場所に対し、チタン製金属のインプラント(人工歯根)を埋入固定し、その上に被せ物(上部構造・クラウン)を固定し、咬み合わせ等の口腔機能や見た目を回復する歯科口腔外科手術です。
・インプラント治療は健康保険が効きませんので自費診療となります。
・歯科インプラントは外科手術を伴います。
・手術後の腫れ・痛みを伴うことがあります。個人差がありますが、痛み止めや抗生剤をお出ししております。一時的なもので、多くの場合2~3日で治まります。
・インプラントを固定するために骨造成治療が必要となることがあります。その場合、別途骨造成の費用がかかります。また骨造成治療後、骨ががしっかりと作られるまで3~6ヶ月間の治癒期間が必要です。骨造成が先に必要となる場合、インプラントがすぐに埋入できないことがあります。
・歯周病のある方、心疾患、骨粗鬆症等、内科的な疾患のある方は、インプラント治療が適さないケースもあります。また普段服薬しているお薬等も治療に影響する事があります。
・免疫力や抵抗力が低下している方、歯周病の発生リスクの高いとされる糖尿病の方、口腔内の衛生状態の悪い方や、あごの骨が足りない方、喫煙者の方は、インプラント治療がすぐにできない事があります
・血管損傷・神経麻痺のリスクが伴います。これは血管や神経が「ドリル」や「インプラント自体」によって損傷することで起こるリスクです。インプラント手術の検査~計画を入念に行うことでこのトラブルを回避できます。起こった場合は、回復に数日~数週間の時間が必要です。
・上顎にインプラントを埋入する際は、上顎洞膜を破る可能性があります。その場合、他に埋めることが可能な場所を検討します。手術後に抗生剤を服用する事で感染予防をし、膜が自然にふさがるまで治癒を待ちます。
・歯周病のある方、心疾患、骨粗鬆症等、内科的な疾患のある方は、インプラント治療が適さないケースもあります。また普段服薬しているお薬等も治療に影響する事があります。
・お身体の状態や細菌感染により、術後インプラントが骨と結合しない場合があります。この場合、原因を取り除いてご希望により再治療を行います。
・口腔内の衛生状態が悪い方、歯ぎしり、くいしばりの強い方はインプラント周囲炎(インプラントの歯周病)を引き起こす可能性があります。日ごろから丁寧なメインテナンスが必要となり、咬合調整やナイトガード(マウスピース)の装着も必要になる場合があります。
・骨の成長途中になるお子様(およそ18歳未満の方)、妊婦の方はインプラントが受けられません。
当院では、上記のようなリスクや副作用が起こらないよう、事前診査・診断、治療計画をしっかりと行い、安全性を期したインプラント治療を心がけております。